
プレシオサ社 - チェコが誇るクリスタル工芸の継承者
世界的なガラス工芸の中心地、チェコ・ボヘミア地方。その北部に広がる「クリスタルバレー」は、約500年にわたりガラスづくりの伝統が息づく地です。この地で培われた技術と芸術性を現代に受け継ぎ、世界へと発信し続けているのが、Preciosa(プレシオサ)社です。
プレシオサ社は1948年に創業されましたが、そのルーツは1548年に遡ります。当時、北ボヘミアの森に囲まれた村で、最初のガラス工房が誕生しました。豊富な木材と鉱物資源に恵まれたこの地は、ガラス職人たちの理想郷となり、技術は代々受け継がれてきました。現在も、プレシオサは創業の地・ヤブロネツ・ナド・ニソウに本社を構え、地域に根差したものづくりを続けています。
第二次世界大戦後、地域に点在していた伝統ある工房や職人たちがひとつとなり、プレシオサ社が設立されました。以来、チェコのガラス工芸の精神を継承しつつ、現代の技術と融合させることで、プレシオサは世界的なクリスタルブランドとして成長を遂げました。
現在プレシオサ社は以下の3つの主要部門を展開しています。
■プレシオサ・コンポーネンツ:ファッションやジュエリー向けの高品質な無鉛クリスタル
■プレシオサ・オルネラ:シードビーズやプレスビーズ、技術用ガラスの大手メーカー
■プレシオサ・ライティング:高級ホテルや劇場、宮殿向けのカスタムシャンデリアや照明器具
プレシオサのクリスタルは、トップブランドやデザイナーに愛用されており、ビヨンセ、キム・カーダシアン、テイラー・スウィフト、シャキーラなど、世界の著名人たちの衣装にも使用されています。グローバル展開も進んでおり、中国、香港、韓国、ドバイなどに拠点を構えています。
しかし、プレシオサの真価は製品だけに留まりません。芸術・教育分野への支援にも力を入れており、使用されなかったクリスタル素材を美術大学やデザインスクールへ提供する**「RE-USE(リ・ユース)」プログラムや、若手クリエイターの登竜門として知られる「マスター・オブ・クリスタル」コンペティション**を通じて、新しい才能の育成にも貢献しています。
社名「Preciosa(プレシオサ)」は、ラテン語で「貴重なもの」という意味を持ちます。その名の通り、500年近くにわたるボヘミアのガラスづくりの歴史と、そこに宿る技術・精神を大切に守りながら、時代の先を見据えた創造を続けています。
プレシオサは、ただのガラスメーカーではありません。
それは、チェコという国の文化と誇りを結晶化した存在。
そして、世界に輝きをもたらす真のクラフトマンシップの象徴なのです。
